2023年1月7日土曜日

令和5年 新春拝賀始業式「行く川の流れは絶えずして・・・」

 5日が教職員の初出の日であり、この日高校入試の教育相談が始まった。昨日の6日は堺市の公立中学校を中心として極めて多くの学校から相談を受けた。昨年並みの希望者があると報告を受けており一安心している。そして今日は7日の土曜日、公立と違って本校では、この日3学期の始業式となった。神社神道を建学の精神とする本校は通常の学校の形である始業式では不十分との私の思いから着任し学校改革が軌道に乗り始めた頃から「新春拝賀始業式」とし「形の格上げ」を行い、PTA役員、同窓会も参列した学院神社への正式参拝とした。言わば学院神社への「初詣」である。このような形作りが大切だとの私の信念は揺るがない。 


昨日の段階で明日は雨模様と踏んで雨天でも行けるような「雨儀」の形を整えた。本校の中央館には「回廊」があってその場所がこういう場合に役立つ。教室数がゆうに5教室分のスペースを使った広さであり、「無駄なスペース」という意見もあろうが、人間又斯界には「無駄なスペースこそがゆとりを生み出す」ものだと信じて疑わない。しかし雨の予想はぎりぎりなところにあって結局正規の形で参拝を終えた。幸運だった。これもご神恩である。拝賀式というだけあって単にお詣りするだけではなくて本日の主役は雅楽部と神楽部であり、生徒による「神明奉仕」が我々の誇りだ。4月30日には正式の舞台を設えてそこで部員たちは雅楽の音を奏で神楽部が厳かに舞うのを想像するだけで私の心は歓喜する。 




その後「新年を寿ぐ学院長講話」があり、その席で私は「絵馬の話」「干支に纏わる話」そして「癸卯」に纏わる話を皮切りに話を進めた。古事記に描かれている「因幡の白うさぎ」神話である。要は優しい人間こそ最も人間の本質であり、「ヤマタノオロチ(八岐大蛇)」神話と絡めて「嘘をついてはいけない」「弱い人間を助ける行為」の大切さを生徒に神話を使って諭した。そしてこの二つの神話のモチーフとなる絵画が今年着工する新浪速中学校校舎の正面玄関ホールに飾る予定だと初めて生徒に明かしたのである。要は「いじめ」などは人間として失格だと暗に生徒に伝えたかったのである。 


学院長講話の後は寂しい別れが待っていた。校長主催の始業式の後「高校3年生を送る会」が自治会生徒の手によって行われた。代表生徒によって送辞の言葉が述べられ、3年生の代表生徒が答辞となった。元来は神社前広場で居並んだ在校生の拍手に送られて3年生は最後のホームルーム教室に赴くのだが天候とコロナを用心して放送によるお別れ会となった。この高校3年生は私が校長として入学を許可した学年であり、31日の卒業式を以って学校内には私が入学を許可した生徒は居なくなるだけに、殊更私は寂しさを感じたのである。しかし世の人は言う、「さよならだけが人生だ」とも。 

拝賀式に参列して下さったPTA役員には6階の天空レストランで心づくしの「ぜんざい」を振舞って暫しの歓談の時を以ってご慰労申し上げた。後は31日の卒業式で4年度は終わる。この様にして学校の令和5年、2023年は動き始めた。皇紀で言えば初代天皇、神武天皇の日本国建国以来2683年になる。我国の歴史から見れば本校100年の歴史は短いが、それでも100年は長くて貴重である。200年を目指して頑張ることが我々今に生きる者の責任である。毎年毎年同じようなものだが、そこに流れる感情と言うか思いは変わっている。まさに「ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」を想う。1212年、今から800年前の鴨長明による「方丈記」の冒頭部分である。