2024年6月20日木曜日

高校生の芸術・芸能鑑賞会の日でした。

 皆さんは「芸術と芸能の違い」を明確に区分出来ますでしょうか?私は悩ましい感じがありますね。どちらも「芸事」?ではありますが、何かこの二つの芸事には違いがあるような気がしている方は多いと思います。辞書やネットなどで調べてみると一般的には「芸能」は芸を通して多くの人を楽しませ幸せに導くことを目的としており、これに対して「芸術」とは、文芸、美術、舞踏、音楽などの様式を基盤にして自己表現することだと書いています。人に見せることが主目的ではなく、如何に自分らしさを創造するかが主目的だとありました。 

しかし芸術も最後はその自己表現をあまねく開示、公開して人々の感動や賛否、批評を受けると言う点では同じような気がします。日本語には「古典芸能」って言葉があって、今や能や狂言や歌舞伎は古典芸能の分類ですが、江戸時代は単なる芸能でしょう。ただ歌舞伎や能は演歌、女剣劇、浪曲などは違い、少し格が高いと評価されたのかも知れませんが、未だ芸術作品とは言われていませんね。年月と軸足の置き方によっては芸能も芸術の領域に近づいて行くと言うのでしょうか。 


今日は「高校生の芸術芸能鑑賞会の日」でした。「浪速改革の過程」で私は当時の芸術鑑賞会を芸術・芸能鑑賞会と変えました。神道の学校として日本文化の原点は所謂芸能文化、土着の地方文化から発達した芸能も生徒に教えねばならないと強く感じたからです。今日は「フェニーチエ堺」で津軽三味線をメインに太鼓や笛、民謡などのコラボですから、これは誰が見ても芸術活動ではなくて完全な芸能です。青森、秋田など東北地方から生まれた津軽三味線の歴史と太鼓のその力強い共鳴音には感動しました。今日の舞台は最近めきめき売り出し中の「あべや」兄弟が主役でした。巧みなトークを交えた「邦楽エンターテイメント」とでも言うのでしょうか。生徒を壇上に上げるなど、企画が良く、当然生徒は盛り上がっていました。太鼓は知っていても津軽三味線となるとまだメジャーではないから生徒の中には初めて聴く音だったかも知れません。この「初めて」と言うのが良いのです。

広い会場ですが今や3000人を超える生徒数の学校ですから劇場の定員を軽くオーバーする為にやむなく中学校は独自の活動にして切り離しました。これが結果的には良く中1、中2、中3とそれぞれ対象や日時が異なってきてもう3年経ちました。その昔は中高同時でしたがやはり高校生と中学生では成長過程に違いがあって感性も違うから分けたのが、正解でした。それで中学は今日は普通の授業日でした。とにかく今日の高校生の鑑賞会は良かった。神社神道の学校として芸能の中枢である三味線、太鼓、笛、そして民謡は間違いなく日本文化の香りを撒き散らしていたと思います。私は校長に、この種の企画は3年に1回入れたらどうかを水を向けました。3年ピッチであれば生徒は高校在学中に一回は芸能の真髄に触れることが出来ます。終わって生徒数人に感想を聞きましたが、満足そうな顔つきで「めっちゃ、楽しかった」との声ばかりでした。