2025年1月28日火曜日

中学二次入試と彼らが乗るエレベーター

 入学試験と言うのは主催者側が「一切手を抜かない」と言うのが不文律である。受験生が多かろうと少なかろうと手を抜いてはいけない。慎重に誠意をもって「マニュアル通り」に粛々と進める。本校は特にこの点は私から見ても優れていると思う。管理職や担当教職員がしっかりとしているからである。中学校の2次入試は予定通り8時に進路指導室で「朝礼」を行い、私は試験会場となる8階の視聴覚室を視察し、少し部屋の気温が低く感じたので上げるように指示した。820分点呼、840分に学力検定試験は始まった。受験生の数は昨日の夕刻には13人であったが何と今朝には17人に膨れ上がっていた。信じられない多さであった。 


算数国語の2科目で無事に試験は終わり、12時、私の部屋で「合否判定会議」を持ち合否の判断を下した。特別なことは何もない。定められた基準に沿って一つ一つ見ていくのである。その結果を14時にWEB発表し、明日の10時に校内に掲示する。納付金の決済締め切りは明日の16時で、この時に入学予定者が定まる。様々な経緯を有した受験生であり、保護者は納付金を納めて下さる方が大半だろと思うが希望の類に届かなかった場合は例え合格でも辞退と言うケースも当然あり得るし、他校で追加合格の連絡が入ればそちらに回ることもある。私の想定は1次AA選抜、1次B、B選抜、そして今回の2次の通算5回の入試で本校に入学してくれる生徒は何と166人から169人の範囲になるかも知れない。過去の新記録が一昨年の148人だったからこの数値は一大新記録なるだろう。 


入学試験を気にしながら私は建設中の新中学校棟の細部の設計打ち合わせと現地立ち合いを行った。目玉である「エレベーターと階段部分の色彩デザイン」である。この建物の見どころは随所にあるが、まず最初に目に飛び込んで来るのは正面の「シースルー」のエレベーターである。このエレベーターの常駐場所は1階にするか校長室、職員室、来客応接室のある2階にするか、まだ決めていないがいずれにしても「中身の見えるエレベーター」だから中身も中身として見る対象として強調した方が良いと考えた。そう、高級腕時計の裏側のムーブメントのスケルトンが目立つようにするため正面扉を赤色で彩色することにした。私は赤色が好きだと思う。 



同時に高級な焼き物作りで有名な「大塚オーミ」さんに依頼していた「陶板」の見本が出来たのでその飾る場所で現地打合せをした。100年前の旧制浪速中学校の生徒が遠足で当時の「伊勢大廟」に出かけた時の集合写真を陶板にして職員室と校長室の間の壁に額入りで飾るのだ。この一期生から浪速100年の歴史は始まった。ネクスト100に向かって決して廃色したり、汚損されたりすることのないように、二度と土や紙に戻ることにない焼き物するために私は残った一枚の写真を陶器に変えたのである。浪速中学校が存続する限りこの陶板はこの場所に存在する。100年前から次の100年、「後世に伝える記念の一品」である。