私の現在の正式なタイトルは「学校法人浪速学院 理事長・学院長」である。3月末で浪速高等学校の校長職を辞したからそれまでのものとは異なる。従って「名刺」も新しく作った。学院長は私が勝手に付けたものではない。理事会で正式に決定された「職位」で「浪速高等学校、浪速中学校の校長を指揮監督」し「教学」、すなわち教育の中味について最高の権限と責任を有するものである。私立学校が〇〇学園であれば学園長となる。大阪の私学には結構この学園長のタイトルが付いた理事長は多い。本法人名は浪速学園ではなくて浪速学院だから学院長なのである。
96年の歴史で私が最初の学院長である。その昔、組合が強い時代、理事長が幾ら教職員に指示命令をしても経営に関すること以外、すなわち「教育そのものの中味」については権限が及ばないのが法的根拠であった。教員の授業持ち時間を増やすとか教員の休みの為に自習時間が多いとか感じても、私の前の理事長は何も出来なかったのである。教員と結託した「教員のトップである校長」が好き勝手しても理事長は何も出来ない悲しい時代も本校にはあった。だから学校は寂れていった。今の私立大学のマネージメントは経営の理事長と教学の学長という2枚看板で運営されている。しかし大学の理事長と言えども教学の単位である「学部長」と学長の有する権限には入っていけない。どちらかというとある面、理事会の中枢部分である「教授会」が「ごねれば」、改革など先に進まないのである。
私の時代は今後とも全く問題ないが私の後の理事長が全く学校現場や教育の内容について「素人みたいな人」だったら、すぐに校長以下の教員から突っ込まれるであろう。私はこの事を恐れた。従って「校長先生」という何とも感じの良い響きを持つ校長を幅広い視点で指導し場合によっては「更迭する人事権限を有する理事長・学院長の職位を作った」のである。いわば理事長の充て職みたいなもので、これだと例え私の後任の理事長が非常勤でもセンスさえあれば教育の中味に「口出し出来る」担保としたのである。「職務命令」を発することが出来るのである。
今日は「浪速中学校の2021年度入試第一回入試説明会とオープンキャンパス」があった。コロナ対策で「オンライン説明会」とした。保護者は8教室に分散して貰い、中央館ホールから映像と動画でのプレゼンであった。冒頭新浪速中学校長が「挨拶をされる」ので私はそれを聴きに行った。真面目な人格者であり、私が中学校校長に当て嵌めた人材だから不安はないが、それでも「学校の顔は校長先生」であり、存在感とパンチある発信力を期待して参観した。私は中学校校長で6年、高校校長で13年間、何時も冒頭のプレゼンを受け持ってこれだけは欠かすことなくやって来た。そして何時も「万雷の拍手」を戴いてきたのである。真剣に誠心誠意、本校の現状を個性溢れる表現力で訴えるとそれなりの反響は出て来る。
昨年は歴代1位となる137人の入学者で4クラス体制となった。今日から始まる中学校入試広報活動はこれから本番となる。新校長には是非頑張って貰いたい。大いに期待している。私や前任のM校長のマネをする必要はない。真似ても本物とはならない。保護者や生徒の顔を見ながらのプレゼンではないからやり難かったと思うが、今日の冒頭の挨拶はお人柄がにじみ出て良かったと思う。更に工夫して聴収している人々の心に残るように自信を持って保護者から「あの校長先生に子どもを預けたい」と思われるように頑張って貰いたい。自分のカラーを出し、来年3月に「素晴らしい結果を見せて欲しい」、ただそれだけである。