2023年6月9日金曜日

「任せて 任せず」

 およそ学校と言う学校には吹奏楽部があるもので、吹奏楽部の無い学校を私は知らない。本校でも学校行事、入試広報活動への応援等々吹奏楽部が学校に貢献する場面は極めて多いし、又高校の吹奏楽部への中学校生徒のあこがれは大きいものがある。入試説明会や定期演奏会にも多くの中学生が来てくれる。私はその為吹奏楽部を理事長特別支援クラブとしての扱いで浪速改革以来「楽器の充実と優秀な指導教諭の確保」に必死だった。とにかく学校は吹奏楽部と共に成長してきたと思う。だから特別な支援を行ってきた。その結果、今や2年連続で関西大会に出場するなど大きく成長してくれているし、部員の数も110人を超す大人数となった。今後とも「良い学校の証明」として私は吹奏楽部を支援していく。 


何時もの光景だが、定期演奏会が終われば楽器をプレゼントするのが恒例になっており、今回も顧問の要望に応えてコンサートマリンバ、ソプラノサクソフォン、五弦コントラバスを購入し本日授与式を持った。安価な買い物ではないだけに「はい、買いました。どうぞ使ってね」とはせずに理事長が自ら吹奏楽部への期待を述べ、激励して楽器を授与し、これを受けて部長が部員を代表してお礼の言葉を述べる。これが浪速の流儀であり、教育の一環と捉えている。多くある他のクラブとのバランスもあり、生徒にもより一層の頑張りを期待するからである。 




開校100周年記念事業が終わって「ようやく、ほっと一息」ついてはいるが、毎日毎日、結構忙しい時を過ごしている。それは部下に仕事を任せていないからだと指摘を受けるかも知れないが、そうではなくて「100年が終わった今こそ、手を抜いてはならない」との思いが私にあるからだ。私は「最初から100点狙いで行くのを信条」にしている。結果として出来上がりが70点になっても最初から70点狙いなどでは行かない。木村を完全主義者という人間がいるかも知らないが「物事は完全を狙って企画し行動することが何で悪いのか」と思う。結果のことを言っているのではなくて事前段階とプロセス過程の話である。結果として100点など取るのは難しいのは分かりきっているが、それでも100年狙いで行く。 

松下幸之助さんの言葉に、「任して、任さず」という名言がある。 「基本は任して、しかしいざというときには任さず、そして任した結果の評価は常にする」という意味であろう。松下幸之助氏は従業員に仕事を与えるとき、その長所を見、仮に経験、実績がなくても、潜在能力を信頼して大胆に仕事を任せてきた。そのために多くの人が育った。「仕事は任す、しかし任せっ放し」ではいけないと言う、この言葉は私にとっても「マネージメントの要諦」として何時も自分に言い聞かせている。「あぁ、後は頼んだよ」だけで部下に任せ、結果のチェックも甘いのが「さも大物の振る舞い」だと錯覚している組織のトップは居るものだが、これでは組織は変らない。 

適時適切に報告を聞き、事と次第によっては的確な指導、助言を与えなければならないし、時に方針変更、担当者の入れ替えなど有って良い。それが「責任者の務め」である。事実、松下幸之助氏は病床に部下を呼び、報告を聞き指示を与えることも少なくなかったという。「任せて任せず」、これが松下幸之助流の仕事の与え方であり、人の育て方であった。私も任せて任せずをやっているから何時まで経っても忙しいのだが、その原因は案外と自分が変更を指示したり、手を加える場面が多いからだ。だから最近は休みを取って管理職に任せるようにしているが、実は完全には任せていない。私は今、「後事を託する」管理職や分掌長、教職員を一生懸命に育てているのである。