2023年6月28日水曜日

遠来の客たち

 私の好きな小説家の一人である曽野綾子さんは22歳で三浦朱門氏と結婚し、その翌年に「遠来の客たち」を発表し第31回芥川賞候補となった。「遠来の客たち」という題名が良いね。私もアラウンドのタイトルには留意しているのだが、これが案外と難しい。今日のアラウンドのタイトルは曽野さんの小説をパクッて「遠来の客たち」とした。小説の中味とは全然異なるが昨日、午後2時から「3人の遠来の客たち」があった。元本校職員、神道科の教員であったM先生、このお方は兵庫県佐用町の神社の宮司様である。またもう一人のお方は貝塚にお住まいで元本校英語科の教員のS先生。このM先生がまとめ役でメインゲストは東京在住のY氏で本校の卒業生、現在は日航の国際線パイロットである。

 


ご来訪の目的はその昔、理事長執務室にある一幅の絵画を見た御年82歳のM先生が教え子のYさんに「あの絵が理事長室にあったよ」と話したところ、あれは私の両親が学校に寄贈したもので懐かしいから是非見たいし、理事長にもお会いしたいと言われたことから今回の訪問が決まった。その内に同僚だった御年88歳のS先生にも声をかけてみようとなったらしい。複雑である。従ってガイド役のM先生以外は私にとって初めてのお方ばかりであった。「遠来の客たち」をおもてなしするのは大切であり、徹底してやることが私の流儀でもある。まずサイネージで歓迎の意を形にして、管理職も揃え、まず先の100周年記念動画の「夢の歴史、浪速ヒューマンヒストリー」を見て頂くことから接遇を始めた。その後校内見学をして頂き、暫しの懇談をしたのである。 


今回の主目的であったYさんはご両親が寄贈してくれた絵画をじっくりと懐かしく見て感動の面持ちであった。ご両親がこの絵を見て一発で気に入られ、学校に寄付しようとされたらしい。偶然だがこの絵の作家は号数の大きい同じような絵画を神宮にも寄贈しており、最初見た時に私は驚いた記憶がある。確か神戸にお住いの太陽を題材とする画家さんであると聞いている。太陽こそが宇宙世界の中心であり「天照大御神」は太陽の化身でもあると言われている。私も大好きな絵画で旧校舎の理事長室から新校舎に移った以降も大切に保存して掲げて来たのだが、ご遺族から感謝の意を示された経験は初めてであった。この日航国際線のパイロットのYさんについては色々とお話が聞けて良かった。初めて聞く話で又別の機会にアラウンドにでも書きたいと思う。 




元、本校職員の先生が離れた場所にいる社会的に大きな仕事をされている教え子を連れて学校に来てくれた。最初ご高齢のS先生はYさんを見た時に、誰だが判別出来ない感じで怪訝そうに「Yか・・・?」と言って絶句してしまった。恐らく高校生時代のYさんのイメージが強く、30年経ち、今や貫禄たっぷりの機長然としYさんの変貌に驚かれたに違いない。学校というのはこのように一般社会では出来ない風景が時に出現する。学校と言うところは実に良い物だと今更ながら思った。遠来の客たちは喜んで帰りの途につかれた。このように今、私は人と会うのが仕事になっている。