今の私の最大の関心事は「5G時代における学校の有り様」である。言い換えれば「教育現場が5Gでどのように変わるか、変わるべきか」である。何を準備したら良いのか良く分からない。まだ急ぐ必要はなさそうだが、他に遅れを取ることは嫌だし、そうかといって日進月歩の技術革新の世の中だから慌てて準備しても直ぐに仕様が変わって役に立たないものを導入しても恥をかくだけだ。
来年度、2020年から実用化・商用化に向けて開発が進められている新技術に、放送分野の「4K・8K放送」、自動車分野の「自動運転」、そしてネットワーク分野の「5G」がある。今よりテレビ画像が高精細になる「4K・8K放送」とドライバーが運転をしなくてもクルマが自律走行する「自動運転」は進化の姿をイメージしやすいが、問題は「5G」で一体全体、「何が周辺に起きるのか」「どんなことができるようになるのか」具体的に見えてこない。
「5G」というキーワードであるが、少し勉強するとこれは第5世代移動通信システムのことで、現在のスマートフォンのデータ通信で主に用いられているシステムは4G(第4世代移動通信システム)に位置付けられるものらしいから、5Gはその先に来る次世代の通信技術であると知った。我が国でサービス開始が予定されているのは2020年で、もう来年の話だ。すでにその時代に入っていると考えるべきだろう。学校の責任者として勉強しておかねばならない。
5Gは4Gの1000倍の「高速・大容量」だというから、映像、音声の遅れなどが殆ど無くなるのは分かる。又従来の10倍以上のデバイスとの「同時・多接続」が実現出来ると言うから今盛んに言われている「IoT」も少し分かる。IoTとは「Internet of Things」の略で、分かり易く言えば「モノのインターネット」と訳せる。パソコンやスマホなどの情報通信機器に限らず、すべての「モノ」がインターネットにつながることらしい。
専門家や当事者は社会のスマート化が始まり、生活やビジネスが根底から変わると言っているのだが、便利な世の中になるのは間違いないだろうが、私の責任は「いち早く学校現場を5G時代に備える」と言うことである。速く、多くの端末と高速でつながる5Gが学校にやってくるのである。高度な映像・音声通信により授業も遠隔で、どこにいても良質な内容を受けられる。本校のITの達人教師に聞くと「教育の中央と地方の格差」がまず無くなると答申を受けた。
「なるほど」とうなづくのだが、それは私が求めている答えではない。「授業の在り方」が根本的に変わるような気がしてならない。何時までも「板書にチョーク」の授業で良いのかという疑問である。今でも本校は教室のすべてがインターネットで繋がっているのだが、1000倍の高速でつながると、「今までできなかった体験が可能」になるのではないか。今までよりも生徒は「より深く学ぶことができる」ようになるのではないか。地球の裏側の今を知りたい、月から地球を見たい。そんな生徒たちの一人一人の「学びたい」「知りたい」気持ちに、5G時代は簡単に応えてくれるのではないか。
そうするとまずICTを駆使できる教師の力量の差が生徒への学力伸長に大きな影響を与えるのではないか。更に言えばAI人工知能やロボットなどに一部の教師が置き換わっていく時代は来るのではないか等々、私の興味関心は尽きないのである。私は今、頭の中に「ICT教育推進委員会」みたいなものを組織する必要があるのではと些かの焦りもあって考えている。分厚いペーパーの教科書が電子教科書に置き換わる時代は5G時代の主役になるのではないか。生徒は重たい鞄に何冊も教科書を入れて持ち歩く時代から「タブレット」一つで全ての教科をカバーできるのではないか?色々と考えれば眠れないのだ。全教職員は頭を絞って考えて欲しい。