2019年11月29日金曜日

「書いたものにその人の全てが表れる」

私がお願いした内容の要約は「理事長アラウンドから特に印象に残ったものを3点上げ、それについて論評せよ」である。要は感想文と言うか小論文の提出を課したのである。対象者は8名の常勤講師の先生方で、教科、男女はバラバラであるが、基本的に来年4月1日に本校の「専任教諭」として採用すべきとの具申があった候補者である。本校では他校の多くが実施しているような筆記試験などでは採用を決めていない。あくまでに日常の勤務状況の観察と主だった多くのベテラン教諭の意見を参考に選抜していくシステムである。

 

そしてそれらを人事担当の副校長が集約し、私に最終判断を振ってくる。まず「公開授業」をじっくりと見させて貰う。一回やそこらの授業参観で何が分かるかと言われるかも知れないが校長を17年もやっているとそれが分かるのです!その常勤講師のまず「生まれてから今日までの蓄積」、そして教材研究、ICTの使いこなし、声量、求心力、授業を受けている生徒の顔表情などで教師としての力量と将来の「伸びしろ」が分かります。大切な事は伸びしろ、ポテンシャルです。「この人は将来伸びるな」と言った印象はとても大切です。それは熱意と謙虚さ、勤勉さから滲み出て来ます。

 


その次が「小論文の提出」です。2000字以内、A4版1枚に前述したような理事長アラウンドへの論評を書いて貰う。「書いたものにその人の全てが表れる」と言うのが私の考えである。何に今、興味関心があり、それをどのように捉えているかでその人の人間性、人間力、知性、教養その他全てのものが分かると言うと少しオーバーでしょうか?でも私は採用権者としてこの方法で今まで本校の専任教諭、専任事務職員を選んできました。その数は実に今いる専任教職員の80%を超えるのである。

 




今年は8人の常勤講師だから合計3X8=24件のアラウンドが先生方から上がった。小論文を熟読玩味すると「人それぞれ」であることが大変良く分かる。それでも4人の講師の方が同じアラウンドを取り上げている。それは7月6日にアップした「生徒の顔を見るのが好き」のタイトルのアラウンドだった。次は3人の先生が上げているのは3つのアラウンドであった。5月16日「グッドスクール」、10月12日「何でも学校が悪い、先生が悪い」、10月31日「偶には緊張する場面があって良い」である。

 


8人の常勤講師は真面目にしっかりと書いてくれていた。私はそれぞれの先生のお顔を思い浮かべながら小論文を読み下していった。私にとってこれは「至福の時」であった。教科バランスや人となり、潮時を見極めながら最終判断を12月末までには決めてご本人に内々示することになる。ちなみにトップに上がった「生徒の顔を見るのが好き」を抜粋して一部を再掲する。これを上げた常勤講師の先生は生徒を愛し、教師であることに誇りを有していることは間違いない。小論文からそれが伝わってくる。これをピックアップした常勤講師の先生は私に対して「私も生徒が好き、教えるのが好き・・、本校で専任教諭になりたいんです!」と訴えているのだ。まずこの熱量が教師の出発点であろう。


 

8人の常勤講師の内4人の先生が選択した理事長・学院長アラウンド

再掲:「生徒の顔を見るのが好き」  令和元年7月6日アップ

 

生徒の顔を見るのが大好きだ。特にこの時期、すなわち1学期の期末試験が終わり、学校は一部のクラスを除いて授業は午前中で終わり、生徒は夏休みを控えてやはり「ゆっくり、ゆったりした良い顔」をしている。今見る生徒の顔は最高だ、もう私とは孫よりも小さい子供たちが可愛くてならない。学校の校長が味わえる最高の場面だろう。私は期末の後で下校中の生徒に必ず聞くことがある。 

(中略)

このように1学期の期末試験が終わった後の生徒達の笑顔が素晴らしいのだ。今まで私は多くの人から「先生から、木村さんから元気を貰った!!」と口癖のように言われてきたが、私は生徒にこのようにして接することで「元気を貰っている」。だから学校の校長は止められない。

 

中には「変な先生」もいるがそれは社会のどの組織でも同じ事だ。人間社会であるから全て均一で均質ではない。変なのが混じっているから人間社会は面白い。しかし日本全国、学校の先生と言うのは「教科を教えるのが好き」で「是非担任をやりたい」「部活の顧問としての指導が好き」で背景は「生徒が大好き」先生ばかりだと思う。だから教師を続けられるのだと思う。教師を三日、やったら止められないというのは「良い教師の証明」だと思うが、さて皆さんは如何に?