私は基本的にマスコミの取材は受けない主義だ。その昔は無茶苦茶、受けていた時代もあった。しかしもう年だ。年を取ると何事も面倒くさくなってきた。学校の教職員と生徒に関することだけで「一杯、一杯」であり、外部との接触も余り積極的ではなくなり、元来出なくてはならない外部の公式会議なども副校長に代わって貰って一切出ていない。申し訳ないが許して貰っている。言わば学校内の「閉じこもり」状態である。全精力を学校内部の問題と施設対応に注ぎ込んでいるのだ。
今日はその私が産経新聞の取材を受けた。強い要望とその取材の目的に琴線が触れたこともある。この新聞社は現在、東京・大阪両本社共通紙面で南北朝時代の武将・楠木正成や嫡子・正行らをテーマにした「日本人の心 楠木正成を読み解く」を連載しており、その中で「正成らを祀る神社、仏閣」を主題とした記事を展開している。その関連として「教育現場で正成や正行らの精神を重視している」学校の取り組みを記事化できれば、と考えているとの事で取材申し込みがあったのだ。
戦後、国立や公立の学校の教育では完全に姿を消した正成や正行たちであるが、その精神を脈々と受け継いでいる私学の一つとして本校に焦点を当てたいとのことであった。本校でどのような取り組みをしているのか、正成らの精神を重んじる理由、現在の生徒たちに伝えようとしているものは、目指す人間育成像は...そういった点でお話をうかがえればと思って来られたのである。この目的ならばお断り出来ない。私は楠木正成公を偉大な日本人として尊崇している。強い想いを抱いているのだ。
今日来校された記者は過日本校の楠木正成公生誕の地、「太平記のふるさと」である千早赤阪村の「多聞尚学館」を現地視察されている。特にこの尚学館での取り組みを重点的に取り上げ、現地の様子、特にこの施設に着目した理由、この場所をどのように活用しているか、21年4月12日の施設開館以来生徒たちにどのような変化があったか、正成公の精神を教育の場でどのように生かしていきたいか等々1時間30分もたっぷりと聞かれた。私もどういう訳か、思い切って存分に存念をお話した。どのような記事になるのか分からないが、取材を受けた後何か爽やかな気持ちになった。本音を吐きだしたからだと思っている。学校長として中々本音でしゃべる機会は少ないだけに今日は自身にとって痛快な日となった。