2020年10月13日火曜日

雅楽部引退公演「蘭陵王」

昨日の16時から「雅楽部の高校3年生の引退記念演奏会」があった。例年なら保護者にもご案内するのだが新型コロナの関係で「無観客」とした。しかし大事なクラブ活動でもあり、当初は校長先生の代表参加だけでも良いかなと思ったりもしたが、理事長・学院長の出席を期待しているだろうし、今まで散々と特別強化クラブとして支援し、激励した経緯もあって私は参列した。元々私は雅楽の楽器や音色、音階などが西洋音楽とは全く違い、その心地良さが大好きで、その音色を久し振りに感じたいという思いと、主任外部指導者の岩佐先生が舞人として舞楽の「蘭陵王」を初めてこの席で舞って頂けると聞き喜んで観劇したのである。

 神社神道の学校として例祭などで「自前で雅楽の演奏が奉納」できることほど嬉しいことはないし、これは絶対的な誇りである。お宮の規模が小さく、お祭りなどで、雅楽をテープレコーダーに吹き込んだ演奏や雅楽器が扱える外部の神職にお願いすることは神社界では普通の光景だけに「学校が自前で」というのが私には「内なる誇り」と嬉しいのだ。確かに長い年月と部員の確保の苦労、高価な雅楽器の購入、素晴らしいお稽古をする場所と環境、何より、その道のプロの先生方をお招きし、長年に亘るご指導の賜物である。又裏に隠れて見えないが学校顧問の先生方のお力が大きい。特に雅楽はそのことが目立つ。

 今回の引退公演では演奏曲目が6曲であった。「五常楽急(ごじょうらくきゅう)」「陪臚(ばいろ)」「黄鐘調越天楽(おうしきちょうえてんらく)」「平調越天楽(ひょうじょうえてんらく)」「蘭陵王(らんりょうおう)」「長慶氏(ちょうけいし)」であった。とにかく雅楽の文字は難しくて読めない。特に今回の目玉は蘭陵王で雅楽の曲目の一つだが、管絃にも舞楽にも奏される。北斉の蘭陵武王・高長恭の逸話にちなんだ曲目で、眉目秀麗な名将であった蘭陵王がわずか五百騎で敵の大軍を打ち破った故事による。何か織田信長が今川を打ち破った「桶狭間の戦いを彷彿」とさせるではないか。優しげな美貌を獰猛な竜の仮面に隠して戦に挑み見事大勝したため、兵たちが喜んでその勇姿を歌に歌ったのが曲の由来とされている。武人の舞らしい勇壮さの中に、絶世の美貌で知られた蘭陵王を偲ばせる優雅さを併せ持つ。私は蘭陵王の中に男の理想を見出すのだ。そう、男はイケメンで強くなければならない。そうだとしたら私など蘭陵王には絶対になれないわ!

 高校3年生には引退記念として私がデザインした学院神社を創建した時に同じ木材のヒノキを削り出し、作成した紋章入りの「学院神社扇子」をプレゼントした。又記念撮影後には神楽部の生徒も合流し、4月からの半年分の「ご奉仕料」を一人当たり5000円のクオカードを手渡したのである。私は部員一同に心から慰労の言葉を投げかけ、激励した。そう、雅楽部と神楽部はクラブ活動と言っても学校法人に依頼によって例祭などで学院神社の奉納演奏や奉納舞をしてくれる有力な実際的なクラブなのである。私はそれを「アルバイト」とは呼ばず、「ご奉仕」と明言し、半年に一回「ご奉仕料」を喜んで手渡すのだ。最近では実力が認められて外部からも演奏依頼などが舞い込んでおり、この事も私を嬉しくさせている。