2020年10月22日木曜日

「打ち出の小槌は無い!」

本校では今のところ教職員、生徒誰一人コロナの罹患はない。一人一人が自覚をして感染予防を徹底している成果であろう。従って学校は大きな問題もなく「平穏無事」だ。学校と言うのは、この平穏無事が何よりだと思う。ただ学校の先行きを考えれば心の内は安閑とはしておられない。私はこういう時こそ「本校の先行き」を想う。あらゆるケースを想定してコロナ後の学校の形を今から準備して行くことこそ大切である。経営者は「心配症」が良い。私は極めて心配性人間である。ICTを先取りしてやって来たからこそ今悠然と構えておられる。全教員がグーグルのICT教育認定を取得した。全館Wi-Fi環境が完成し、全校生徒がクロムブックを有し、全ての体制は整っている。今後更に進化するだろう。

 今朝の新聞各紙は「ANA(全日空)」が最悪5000億円の赤字だと報じている。昨晩からテレビニュースでも大きく取り上げられていた。海外渡航用の大型機を半減させ成田、関空、中部から国際線を撤退し全て羽田に集約するという。世界の大手航空会社も状況は同じだ。海外修学旅行はこれで数年は再開出来なくなったと考えた方が良い。ANAはコスト削減を図る為に給与を3割削減し、年末手当もカット、遊休資産の売却を進めるという。鉄道、旅行会社、鉄鋼、自動車等々日本の基幹産業が酷い。飲食業、観光地などは壊滅状況にある。日本経済はこの先一体どうなるのか、予測が立て難い。このような緊急時にはまず手っ取り早く人件費の削減に走るのはある面、致し方がない。「母船」を沈没させるわけには行かないからだ。

 私は少なくとも現在進行中の案件は計画通りに進めていくが、二つの大型案件である「西館の建て替え」と遠方からの入学者用寮「天照寮(仮称)」の着工時期はご破算にして、数年は「様子見」とすることは既に決心している。これに付随して堺市美原区の「高天原アリーナ」も当然時期を遅らすことも視野に入っている。「産土ゴルフ練習場」は費用面では問題ないのでこれは予定どおり来春に着工するかと踏んでいるのだが、全ては来年度入学者の数にかかっている。コロナによるご家庭の経済問題の為に私学敬遠となれば、本校では大きな影響を受ける。昨年並みの入学者だったら「ゴー」すれば良いし、減少傾向だったら立ち止まる勇気が必要だ。これは守りではなくて「腰だめ」だ。力を内に貯めこむ積極策である。

 大切なことは「こういう時」だからこそ、学校を進化させるべきで改革を押し進めることだ。何もせず今までと同じなら衰退するだけと教職員は知るべし。今、大阪の街は北も南も繁華街は閑散としているが、「大阪都」に関して賛成、反対の街宣車がむなしく走り回っている。反対派は「大阪市を守ろう!」のただ一点でこれでは駄目だ。大阪の一体どこを守ろうとするのか?このような時だから「行政の在り方を変えてみる」との姿勢が重要である。人間守りに入ったら進化はない。私は大阪都大賛成である。反対の理由は「住民サービスが低下」と言っているが今までサービスが言うほど良かったか?

 学校の6階にある「天空レストラン」であるがコロナの影響で春以来「赤字」が続いており、私は結構な補助金を投じて来たが何とか9月からは黒字転換だと報告があった。同じく6階の「ブルNANIWAベーカリーショップ」は光熱費を免除して何とか対応し、ようやくパンの売り上げ個数も戻って来た。皆さん努力してくれている。学校経営においてコストの大部分は教職員人件費であり、これから先「人手の多い」学校は駄目なのである。「少数精鋭」で頑張っている学校は強い。

 少数精鋭がしんどいなら人手単価を下げるしかない。平成30年、平成最後にと思って私は専任教諭に対して年末の賞与一時金を一律10万円加算したがこれらを無くし、分掌手当も担任手当ても全てを見直すか、静かに今後の対応を熟慮している。教職員は「学校にいる時間」を自ら考え、「時間管理」をしなければならない。特に「クラブ活動」が問題である。時間外だからと言って手当てを支払う財源は無尽蔵に有るわけではない。私は「打ち出の小槌」を持っているわけではない。私立学校は教育を生業とする企業である。企業経営に能天気な教職員は本校には要らない。全日空みたいになって良いのか!