2020年10月30日金曜日

「少年法改正」高校3年生はもう大人?

今朝の新聞記事で注目しなければならないのは「18,19歳厳罰化答申」が出たことだ。各紙とも大きく報道している。法務大臣の諮問機関である「法制審議会」が昨日、罪を犯した18歳と19歳の少年?を現行よりも厳罰化する「少年法改正要綱」を上川陽子法務大臣に答申した。諮問から3年かけてようやく進んだ。要点は少年法の改定を現行の20歳未満から引き下げるかどうかだったが、紆余曲折の議論の末、形は今のままで年齢を引き下げずに「一定の厳罰化を図る法令」として来年の通常国会に提案される見込みという。理由は18,19歳は「十分に成熟しておらず未だ”可塑性“を有する存在と指摘」している。可塑性とは柔軟性の意味でまだやる直しが効く年齢と判断したのである。法律用語は難しい。

 

今までと同じように一旦は「家裁送致」とするが重大な犯罪は検察官に「逆送致」し、一般と同じように刑法で裁かれ、「氏名や顔写真など本人を特定する報道も解禁」される。これが前述した一定の厳罰化の意味で恐らく案件は増加するだろう。民法上の成人年齢は2022年4月から18歳に引き下げられるが少年法の改正は前述のようにワンクッション置いた妥協した結果だと思うが、それでも学校関係者は今般の改正を注視しなくてはならないと思う。重大な現行の犯罪として殺人、傷害致死に加え、強盗、強制性交などで刑の下限が1年以上の懲役・禁固の罪が追加された。シミュレーションによれば昨年12月から今年2月までに家裁が行った18,19歳の刑事犯1708人の内逆送対象は3人から何と52人と17倍に広がるという。

 本校では今日10月30日現在で18歳に到達した数は60%程度もいるから今次の少年法改正対象の数は多い。又3月中に幾ら卒業しても3月31日までは学校との関りがあるから基本的に高等学校は高校3年生への責任は有すると考えれば、今回の少年法の改正は重大である。実名報道や顔写真が出れば、在校生、保護者、塾関係者、卒業生等広範囲に影響を与える。案件によっては学校の死命を制することになりかねない。従って今後は生徒指導への視点も法改正に合わせて新たに対処していく必要がある。本校には今まで少年法に触れる犯罪をした生徒は勿論皆無であるが、万が一の事を考え、法律が成立した後の事を想定しながら生徒指導の在り方を見直していこうと考えるべきであると私は今朝、高校校長に述べた。まだ準備する時間は十分あるので、「高校3年生はもう大人!」として学校も考えるということではないか。日常の指導と学校内規の厳罰化も抑止力の観点で考えねばならない。