私にとって最良の「精神安定剤」になるものは二つある。一つは睡眠時間だ。朝起きた時の体調である。どうも私には7時間30分以上の睡眠時間が必要みたいだ。それ以下だとその日は一日中しんどい感じがする。もう一つは「入試説明会の参加者数」である。自分に納得できる数値であると途端に機嫌がよくなり体調も良くなる。想定を超えて少ないと少し落ち込む。頭の中で回路が出来ており参加者数で勝手にシミュレーションし、来年度の入学者数が浮かんで来る。この数値によって次年度以降の教育環境整備に使える投資額が大体自分なりに把握できるからだ。コロナの影響で来春の中高の入学者数がどのようになるのか予断は許さないが現時点では昨年並みの数値が出て来るかもしれない。大幅な減少は無いかも知れない?その安堵感から少しだけ機嫌が良いのである。
私には勤務場所がここ本校地と校外の施設がある。機嫌が良く、時間があれば校外の施設に行って様子を見たり、工事中であれば進捗状況を観察し、場合によっては工事会社にダメ出しや変更などを言わねばならない。要は投資して作った教育施設の「有効回転率」が何時も頭にあるのだ。「箱モノは作っただけで、終わり」となるケースが時にあるが、これでは「有効投資回収率のアップ」にはならない。「作ったものは使う!使い尽くす!」、この当たり前の事が重要である。投資した資金は使うことで回収できる。多聞果樹園・農園では「干し柿、イチゴ栽培、果物、野菜」と一生懸命に育ててそれを中学生や関係者が口にし、初めて成果となる。果樹園や農園が荒れ地で草ぼうぼうでは意味はない。昨日様子を見に行ったが干し柿が色づき始め、旨そうだった。農園ではおでん用の大根が順調に育ち、ブロッコリーが良く出来ていた。3房ほど収穫した。いちごハウスではミツバチが一生懸命に働いていた。おおぶりのミカンである「はるみ」はもう少しで収穫できそう。この浪速中学校所属の果樹園と農園は本校の宝物の一つである。
本校には宝物が沢山ある。本校は「宝の山」と言っても良いくらいだ。随所に工夫を凝らした新校舎、多聞尚学館、武道館、ふくろうスタジアム、多聞果樹園・農園、多聞茶寮、そして今建設中の「高天原スポーツキャンパスKフィールド」等である。もうすぐ完成するがこれは宝物でも別格の大きな宝物になるだろう。維持費が大変だろうと偶に言う人が居るがそんなものは大したことではない。全く気にしていない。維持管理費などは当然決断前から考えていることで、大きなお世話である。確かに公益法人だから「税負担は免除」されておりこれは大きい。宝物の管理は、ただ一つ、「常にメンテナンスをする」ことだ。常に手を入れ「常若」に保っておけば誰もがハッピーな気持ちになって「宝物を有する誇りと物を大切にする心」が培われる。
毎朝、出勤時に学院神社にお参りする私だが、最近、鳥居の足元が黒ずんで来たのに気付いた私は「あっ、雨水で根元が腐り始めたか、しまった!」と焦り、早速業者さんに調べて貰った。結果的にまだ間に合ったが、大きな失敗をするところだった。この鳥居は創立90周年事業として新校舎と神社本殿建て替えの時に伊勢神宮様から頂いた、大切な、大切な宝物である。神宮の別宮で有る「倭姫宮の第一鳥居」で次の式年遷宮まで最低でも後20年は持たせないといけない。「あれ、おかしい?」と思ったらすぐに手を入れる、これが常若である。