2021年10月26日火曜日

影日向なく、謙虚に黙々と責任を果たす

 昨日は肌寒い月曜日であり、終日雨は切れなかった。夕刻「雅楽部の引退記念演奏会」があった。高校3年生の部員が2名と少ないが、大学受験もあり引退するので今年も卒業演奏会をしてやりたいと顧問のT先生が言ってきた。私は諸手を挙げて賛成し中央館8階の視聴覚ホールに出掛けた。ここは音響施設もBOSEのスピーカー設置とか豪華に造っており、ホールの後方は階段状になっている自慢の教室である。プロである外部指導者の賛助出演もあり、厳かにそして中身のある演奏会となった。外はせつない「冷雨」で、雅な雅楽の響きは心に沁みとおってきた。雅楽部は本校のアイデンティティを高めてくれた特別クラブであり、私は言葉を尽くして感謝し卒業する2人には新学院神社御柱に用じた檜を利用した「扇」をそれぞれにプレゼントした。今回の立役者は何と言っても顧問のT先生であった。生徒の為に一所懸命張っているこの先生を見ながら「ああ、本物の教師になってきたな!」と私は一入感慨を持った。 



昨日に引き続いて今日も常勤講師の公開授業があった。本校3年目で理科の生物を専門とする女性教師である。所謂「リケ女」であるが、とにかく影日向なく仕事をする先生である。経歴は府立高校から今上り調子の有名K大学の農学部で学び、教師の道に進み本校で3校目になる。農学部に拘ったと言う。面白いのは「学芸員資格」を有し、公益法人大阪府文化財センター府立近つ飛鳥博物館での勤務経験がある。今日は単元「体内環境を調整する腎臓」の授業であった。授業については言うべきことはないほど出来上がったもので私は満足した。板書とICTを駆使した見事な「ハイブリッド授業」であった。タブレットを使いこなしている。大学時代からだというから付け焼刃ではない。 



この先生はこの3年間吹奏楽部でも頑張ってくれ、この部が今日の隆盛になったのはこの先生のチーム参加の効果も大きかったと思う。決して派手さはないがそうかといって自分の意見も持ち、人に隠れて人の気付かない裏方の仕事をこなすスタイルを多くの人が評価し今日の理事長参観授業になった。このY先生には私には忘れがたい思い出がある。9月吹奏楽部が関西大会に出場出来た時に私から「何か欲しい楽器はありますか」と主顧問の先生に聞いた時、このY先生は後ろの方から、当初は無かった「コンサートトムトムが欲しいです」と「ボソッ」と言ったことである。 



このコンサートトムトムなど、無知な私には全く分からず「それって何?」と何回も聞き返したほどだった。主にクラシック音楽や打楽器ソロ・アンサンブルにおいて使用されるトムをコンサートトムトムと言うらしが私にはドラムセットと同じに見える。ただクラシック音楽とポピュラー音楽では求められる音色が異なってくるので、コンサートトムトムは比較的に深胴のものが多く、そのため余韻が長く音程感があるのが特徴と教えて貰った。購入を決断した私の心の底には常日頃のY先生のビヘイビヤーがあったことは間違いない。前述したようにこの先生、字が上手い。綺麗な字を書かれる。字の上手い人はインテリイジェンスを感じる。平成19年大学を卒業し、教師の道を志し、雌伏とは言わないが、12年間の頑張りで専任教諭への道が眼前に開かれてきた。今の謙虚さを忘れず、頑張って欲しいと思う。