2023年3月14日火曜日

「人生いろいろ、教員もいろいろ」

 「人生いろいろ」は、1987421日に歌手の故島倉千代子さんが発表したシングルである。自身最大のヒットであり、代表曲になっている。島倉さんはこの曲を「第2のデビュー曲」と思っていると語ったとあった。歌詞の中で繰り返し出てくるフレーズは今でも覚えているが「人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろ、女だって咲き乱れるの」だったと思う。その後“人生いろいろ”は多くの人の口の端に上り、有名な言葉が「人生いろいろ、会社もいろいろ」である。これは小泉純一郎元首相が、当時の岡田克也・民主党代表から、勤務実態がない会社員時代に厚生年金に加入していた問題を追及されたときの答弁でこう答えているが私は名答弁だと思う。詳しい説明責任から逃れ、話を曖昧模糊にする時に「人生いろいろ」と言うだけで人々は笑い、追及の手を緩める。 

私は「人生いろいろ、教員もいろいろ」と言いたい。学校には本当に様々なタイプの教員がいる。本校でもまったくそうだ。正直、理事長として本音を言えば個々の教員への対応は「大変ですぞ!」。しかし今日の“人生いろいろ、教員もいろいろ”は肯定的に言及したいと思う。今朝ほど一人の女性教員が部屋に来て、丁寧に礼儀正しく挨拶してくれた。当然既に報告は受けていたのだが、この3月末で退職する英語科の女性専任教員だ。関西の有名な大学の外国語学部を卒業し、オーストラリアに2年間留学。大学に戻って卒業、その後関西の他の大学の文学部に編入学し、2年後に卒業した。これからが面白いのだが有名な民間会社に4年間勤務し、満を持して私立の高校で英語の教鞭を執り、縁あって本校に来てくれた。既婚者である。 

私は常勤講師1年で専任教諭になって貰った。わずか1年で見抜いたのである。海外の大学も経験し、民間企業の経験もある。おまけに英語検定の資格も有している。明るい。ぶつぶつ文句一切言わず、仕事を確実にする。プロ中のプロなのである。確かにこの先生は英語指導も部活動も分掌業務も一生懸命にやってもらった。しかし「女もいろいろ」だった。退職の理由は「大学院で更に勉強したい」と言う。浪速高校で多くの事を学び、自分の不足していることが分かった。全てに亘って毎日が楽しかったと言われる。5年間の勤務で貯金も出来た。主人に負担を掛けたくないので自分の力で大学院に行くと言う。特に理事長には目をかけてもらって有難うございましたとまで言われてしまった。この先生は天性に明るいのである。私が大学院で学んだあと、再度高校で英語を教えたかったら「浪速にカムバック!」、その場で専任教諭で採用するよと言ったら、「ほんまですか!」と大阪弁で応えてくれた。最初は涙ぐみ、最後は笑って部屋を出て行った。 


“人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろ、女だって咲き乱れるの“の歌の歌詞ではないが自分の人生である。女もいろいろ、咲き乱れて欲しいと思う。しかし今日、つくづくと思った。相対的に女性は強いし凄い。腹を決めればすぐに方向を打ち出し、動く。それに比べ、男は「グジグジ」していないか。外向きの日本の女、内向きの日本の男と言ったら物議を醸すか?