「自分の人生の記録」となるものは大体残す癖があって本校に着任以来の給与明細書は一つ残らず溜め込んでいる。一度仕舞えばほぼ100%見ることは無いのだがついつい残してしまうのだ。恥ずかしい癖だが「自分の仕事の証明みたいなもの」で捨てられなかった。しかしこれも明日からは明細書を入れる紙の袋と給与明細書そのものが無くなるから近い内に処分しようと思う。本校では明日の4月払い給与から「給与明細WEBサービス」がスタートする。併せて半期ごとの賞与・一時金やその他の教職員への支払いも同じようにWEB明細となる。勿論、紙の明細書をご家庭の奥様へ渡さなければならないなど必要なケースもあるがそれはPDFにて印刷が直ぐできる。
私は15年前を思い出す。着任当時本校では給与も賞与も「現金支給」であった。この古臭さに驚いた私は「給与振り込み」に変えると宣言した。ある女性事務職員が私に訴えてきたのは、120人以上の先生方に「1円のミスもなく袋詰めする労苦」についてであった。大量の現金を銀行の窓口に安全に取りに行くしんどさも訴えてきた。しかし当時抵抗派もいて一人一人説得した。屁理屈を述べて抵抗する者も居たが丁寧に理解を求めた。それが15年ぶりにその紙の給与明細が無くなるのである。これで事務の職員は明細書の印刷と袋詰めから解放される。
私はこの新システムの導入に関与した関係者、中でも事務室給与担当のOさんと事務室勤務であるが分掌、情報企画部のKさんには賞賛の声を届けたい。勿論進めた理事と事務長が居ればこその実現である。Oさんは毎月15日の朝になると私の部屋に来て、「理事長先生、今月分です。」と決まり文句で給与袋を渡してくれるのも明日からは無くなる。これを気にしたOさんは明細書を印刷して通常通りお持ちしましょうかと聞くので「不要です」と答えた。組織のトップの私が、これで明細書を要求したら、何ら意味は無くなる。必要なら自分で印刷すれば良い。今朝は彼女の指導によってスマホとパソコンにアプリを入れた。
これも大きな意味で「働き方改革の一環」である。本校の給与明細WEBサービスが広く社会一般の中で遅れているのかどうなのかは知見が無いから分からないが、ようやく私が掲げている「デジタルスクール構想」が動き始めた。今後は「ハンコ無し学校」など学校全体を見渡し、ICTを導入し仕事の合理化を図って、教職員の定例業務の負荷軽減を図って行きたいと思う。そういう意味で今回の給与明細WEBサービスは画期的な事なのである。