故高倉健さんは大ヒット映画「唐獅子牡丹」の中で「義理と人情を秤にかけりゃ 義理が重たい男の世界」と歌ったが任侠の世界に生きる人だけではなくて、普通の男も女も義理と人情に思いを持つことは重要な事である。私の大好きな言葉、「義理人情」とは過去のいきさつやしがらみのために避けられない付き合いや、人に対する思いやりのことであり、
「義理」は、交際上の関係や付き合いであるが、交際上、いやでも人に対してしなくてはならないことがある。健さんはこれを歌っている。 「人情」は、人に対する思いやり・情けの事であり、これらは日本の社会に固有な生活規範だと思う。中でも義理は一般に社会に既存している道徳や習慣であり,人の踏み行うべき正しい道筋をいう。若い世代にはまだ良く分からないと思うが義理と人情は大人になればなるほど、役職が重くなればなるほど重要な概念と言える。
今週はこの義理と人情の中で忙しい日々を過ごした。週末の土曜日、机の上を整理しながらこの1週間を回顧している。些か疲労感を覚えるが、義理と人情を果たせば実に気持ち良いものだ。これらは学校の理事長として避けられない仕事であり、誰かに振ることのできる仕事でないから自分でやるしかない。まず週初めには関東から表千家のお茶人お二人を学校のゲストとして歓待した。お二人とも80歳を超えるご高齢でありとにかくお風邪など召さないように気を使って校内見学、千利休を尋ねる堺市内観光、ミナミ道頓堀周辺のご案内と気を使った日々を過ごした。私は強く義理人情を思い「最高級のおもてなし」をしたと思う。
最寄りの駅は新幹線三島駅であり当然「三島大社」を参拝した。三島や隣町の韮崎は北条氏の街でありここ三島には流刑となった源頼朝やその後正妻となった北条政子生誕の地でありあちこちにゆかりの場所があった。来年のNHK大河ドラマは三谷幸喜さんの「鎌倉殿と13人」であり、既にこの地の収録は終わっているが来年はとにかく「伊豆」が主役になる。その後私は新幹線で大阪ではなくて逆の東京に向かい、千代田区富士見町にある東京の伊勢神宮と言われる「東京大神宮」に急いだ。ここで神職であり歌手でもある「涼恵」さんの「出版記念会」があり義理と人情の思いではせ参じたのである。このお方には随分とお世話になったからである。
パーティは神社界、國學院大學関係者、音楽会等々130人を超える豪華なものであった。大阪からは私だけであったが、何と私のテーブルの席には元総理の安倍晋三氏の夫人である昭恵さんがおられ、私はご挨拶し名刺を交換した。色々とお話を伺ったが、言語明瞭で分かり易く、そして着飾ってはおられないが、明るく、ザックバランなお人柄で、人に大変良い感じを与える女性だと私は感じ入った。終電ぎりぎりまで居て、タクシーを飛ばし東京駅に急いだ。そして最終の新幹線で大阪に戻り自宅に到着したのは12時前であった。義理と人情に生きた1週間であったと言える。