今朝の朝刊各紙は1面トップ記事ではないが、結構、紙面は大きく「教員免許更新制度が7月に廃止」と報じている。これは既にこのアラウンドでも触れていたが昨日の参議院本会議で可決し正式に成立した。学校現場にとって重要な法律が一つ姿を消した。2009年から施行されものだが僅か20年そこそこで廃止となったのである。典型的な「頭だけで考えた現場を知らない人々が考えた法律」はこのように寿命も短い。オフラインで30時間の研修講義、それに更新の費用の自己負担など教員の負担が大きいものだった。誤解の無いように書いておくがこの法律の趣旨は極めて大切である。一度「教員免許を取得すると一生何もしなくとも有効」などの資格など全く意味は無い。運転免許でさえ更新制度はある。社会と同じで日進月歩の教育現場である。若い時に取った免許を唯一の拠り所として何も勉強もせず、ICTも使えず、教育力の無い「一見、学校の先生風の人」が偉そうに教壇に立つことは生徒への裏切りである。
国はこの法律の廃止に合わせて23年4月から新しい研修制度を立ち上げるというが、果たして現場の実態に合った施策が出て来るのかどうか?この方向は「校長の権限を強める」とあった。校長の関与を強め、人事評価の面談の際に「貴方は何々を学んで欲しいと助言」するシステムとあったが、校長のセンスや能力、教員の意識などそう簡単には行かないだろう。助言などの甘い言葉で教員がすぐに動くか?しかし諦めてはいけない。立派な先生を育成するのは校長の極めて大きな業務であり最大のものと言っても良い。同時に教員集団が一体となって大学新卒の先生や、例え年数だけは誰にも負けないベテランと言われる教員を追い込んでいくような「公助的な教科単位のチームワーク作り」が重要である。教科長の責任は重い。
本校は今までもこれから先も教員の指導力向上の為に法律の趣旨を含めてもっと包含的に新しい制度作りを進めて行く。素晴らしい教員集団を作る為に最大限の努力をするのだ。今日の職員会議でも私はこの点を強調した。グーグルの教育認定取得の奨励、ICT教育の完全把握、デジタル教材開発、英語外部検定ハイレベルの取得、その他例えば吹奏楽部の指揮者研修会への参加など教員の要望に沿う形で便宜を図っていく。具体的には研修会参加時の職務免除、費用援助など惜しみなく対応していく。「学校のレベルとは校長と教員のレベル」である。凸凹があってはその影響は生徒に及ぶ。素晴らしい先生に当たった生徒は幸運だが、首を傾げるような教員に毎日向き合っている生徒は悲劇である。私からすれば保護者から頂いてる授業料は1円も違わないのにと思ってしまう。全ての教員が「ぴったし同じ」とはならないのは当たり前だが、「許される許容ゾーン」に入っておかねば駄目だ。
今日は職員会議の日であったが、令和5年度入試の問題作成と試答担当教員の発令を行った。高校入試問題で36人の教員、中学入試問題で31人の教員である。まずは素晴らしい入試問題を作らねばならない。まさに「教員の腕の見せ所」である。それを受けた試答担当教員は顕微鏡で見るがごとく、又大きく俯瞰しながらその出来上がった問題の良否やバランス、ミスなどを徹底的につぶさねばならない。私は昨年からこれらに対応してくれる先生方に「特別作業手当」を増大している。プロの仕事を見せて欲しいと思う。今日の職員会議に先立ち、専任採用後の1年研修の発表会があったがこれも良い先生になって頂くためのキックオフ研修である。「初心を忘れるな」である。外部講習を受けるより格好の教材は現場にあるのだ。「仕事を通じて伸びよ!」