日本の学校には「クラブ活動(club activity)」、もしくは、「部活動(extracurricular
activity)」と称されている特別な活動がある。これが無いと学校と言えない雰囲気もある位、学校現場はクラブに多大のエネルギーを費やしている。この学校のクラブ活動とは教員ら顧問などの指導の下で学生・生徒が始業前や放課後に行う運動部・文化部などの活動であるが、摩訶不思議な事だが「学校教育の一つ」であることは間違い無いが「教育課程には含まれていない」のである。クラブ活動も学習指導要領上の用語であるが、中学校では2002年、高等学校では2003年の学習指導要領改訂で消滅している。ただ文化庁やスポーツ庁は学校のクラブ活動の重要性に鑑み、令和4年に12月に「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」を出している。今後時代の変化と少子化の進展で学校のクラブ活動の姿や位置付けも変わっていくのは間違いないと私は思う。
活動の類型は各学校で異なっているが、活動内容により、大まかに「運動系(体育系)」と「文化系」に区分されることが多く、運動系の部を運動部、文化系の部を文化部という。本校でもそのように呼称している。私は高校生時代には「水泳部」に入り、当時を思い出しても「時々熱心、時々サボり」の部員で勿論物には成らなかったが、それでも今では楽しい思い出である。水泳部の先輩は今でも電話をかけてくることがある。勿論こちらの名前は呼び捨てで、こちらも「先輩、先輩」と崇める。部活動は良い。極めて良い。成長、発達過程にある中学生や高校生には何らかのクラブに属して欲しいと思う。ホームルームというクラス単位ではなく、学年縦割り、顧問や外部指導者と接する機会の多さ、対外試合における勝負の厳しさや楽しさなどは教室だけの狭い空間からでは得られない何かがクラブ活動にあるからだ。
だから私は着任以来、クラブを多く作り、「練習環境を徹底的に整えてきた自負は高い」。浪速武道館(剣道部、弓道部、空手道部、茶道部、雅楽部)中央館和室(神楽部)、ふくろうスタジアム(硬式野球、軟式野球)、高天原スポーツキャンパス(サッカー、ラグビー、アメフト、陸上競技部、硬式テニス、軟式テニス、ゴルフ部)それに校庭を含む校内全体のクラブ化かも知れない。そのお陰で今や「高校では運動部が21、文化部が25、中学は運動部が18、文化部が20と合計84ものクラブ」があり、それぞれの部が大活躍している。高校生も中学生も自校のクラブの場所に誇りを持っている。これが何よりである。
この鼓動はPTAにも拡がり、本校では「PTAクラブ活動」と言うのが発足し、今まで「料理実習」「書道授業」「生け花教室」などがあり、先週には「神道授業」があった。希望する保護者を教室に招き入れて「本物の教師や一流の外部指導者が保護者に授業を行う」のである。ところが本校は神社神道の学校であるが意外と保護者の中には神社への正式な参拝の仕方を覚えられていない。自分の実の息子や娘さんはちゃんと作法通りに「手水の使い方」「柏手の仕方」「お辞儀の作法」「玉串奉奠」などが簡単に出来るのに保護者はご存知ない方が意外と多い。そこでPTA会長からの依頼でまず、神道科の主任教諭のK先生から講義を受け、実技として学院神社にお参りして身に付けるのである。このK先生はご実家が神社で、まごうことない宮司さんである。素晴らしいことで先週に行われた授業では保護者の皆様はいたくご満足のご様子であった。これがPTAのクラブ活動である。私立学校の校舎は単に生徒だけう使うものだけでなくて「浪速ファミリー」や地域の人々に役に立ってこそ私立学校の存在意義はあるというのが私の強い思いである。今後ともPTA活動を奨励して支援して行きたいと思う。