このアラウンドで何回も木村賞の事を記すのは些か気が引けるが、やはり書かないわけにはいかない。本校は殆どの生徒が大学進学を希望するいわゆる「進学校」である。勿論クラブ活動を応援する環境を完璧に整えた「文武両立」の学校でもある。その中で努力し、学力でも運動でも頑張り、自分の希望の大学に挑戦し栄冠を勝ち取った生徒は多い。この中でも以下に述べるこの二人は他の生徒と共に私が誇りとする生徒である。特に昨年の第一回木村賞の受賞者と今年の第二回目の木村賞の受賞者がそれぞれ学校に来て私に直接報告をしに来てくれた。私が聞きたかったことは本校最高の褒賞を得て「その後のプレッシャー」があったかどうかである。
今年の受賞者は大阪大学に現役合格、背の高いボクシングを愛好する好青年である。2次試験の前の全国大学入試共通テストは「自己採点で88%のスコアでした。」と自信に満ちた表情で即座に答えた。「だったら京大もあったのではないか?」と水を向けたところ、「迷ったけれど現役にこだわり、京大は少し不安で避けました。阪大だと家から通えますし。」との返答だった。木村賞は嬉しかったのですが、先生のご期待に応えるために頑張ろうという気持ちはやはり強くありました。」家族はまさか阪大に合格するとは思っていなかったらしくまさに“びっくり”という感じでした。」と話してくれた。彼は一人息子で両親の寵愛を一身に受け、何事にも“のびのび”個性豊かな」という、そういう生徒である。
昨年の木村賞の生徒は女生徒であるが1年浪人して奈良女子大に合格した。彼女は本日来てくれ、色々と話したが本当に不安の中で頑張ったと言っていた。コロナで浪人期間中、「映像だけの授業は不安でしたが、自分でいうのもおかしいのですが本当に頑張ったと思います。」と言っていた。これだけ言える生徒もそうはいない。彼女も一人っ子である。文学部で世界史を勉強したい希望があるが私は必ず教員免許を取得しておくように過日言っておいたのだが、今日、母も大賛成で教員免許は取りますと力強く言ってくれた。つかさず免許は社会科のみならず国語と書道の免許も取っておくようにアドバイスした。出来ればいずれは母校の教員になる方向を忘れないで欲しいとも申した。所謂、何事にも真正面から取り組む努力の真面目な生徒である。
木村賞のプレッシャーはあったかと聞くと「やはり頭の片隅にはありました。国立大学には何としても合格せねばと思っていました。」との答えが返ってきたのである。木村賞は在学3か年間のあらゆる面での成績から褒賞として授与したものだが、やはりこのように生徒にはプレッシャーを与えている。しかしプレッシャーは必ずしも悪いことではない。大人でも勉学中の身でもこの世に身をいておればプレッシャーは少なからずあるものであろう。大切なことはプレッシャーに負けない精神的強さの自己涵養と周辺の理解と支援である。二人はプレッシャーに打ち勝ち見事に自分の進路を勝ち取ったのである。見事としか言えない。心から祝福したいと思う。さあ、明日は併願点呼の日だ。何名の人間が入学手続きに来てくれるのか?