2023年2月15日水曜日

人の亡きあとばかり 悲しきはなし

「人の亡きあとばかり悲しきはなし」。徒然草にある有名な言葉である。兼好法師が鎌倉時代末期に書いた随筆であり、高校古典の教科書にも出てくる有名な一節で、若い時に勉強して覚えていることは歳を取っても忘れず、直ぐに口に出て来る。まさしく「少年老いやすく学成り難し」である。「生徒達よ、若い時に学問に励め!」と言いたい。昨日、本校評議員でOBでもある八尾にある神社の宮司さんがわずか2か月の闘病で亡くなられた。享年54歳と言う若さであった。寡黙であるが知的で、責任感溢れる家族思いの人物であり、6年前に評議員の就任を依頼に行った時を思い出し、目頭が熱くなった。残念でならない。一人娘のお嬢さんが亡くなれた当日に本校に受験にくる予定であった。私は奥様とお嬢様と結構長い間お話しする時間があったが、「主人は浪速の評議員会だけは再優先で4月からの再選続投を楽しみにしていました」と嗚咽を洩らしながら語られた。私は奥様とお嬢様に深い哀悼の意を示し「17日の1.5次入試で待っています」と激励した。このような若い人が亡くなるのは特段に悲しいものである。 

17日の1.5次は1次を体調他の理由で受験できなかった生徒の為のものであるが、新規の受験者を含めて現時点で23人の受験者である。慎重かつ丁重に行う積りであるが、私は最終的な高校の入学者数のシュミレーションから「必要教室数」に気が行っている。「ぎりぎり」の線でやってきており、入試広報部の数値を聞いている限り「20教室」で対応できるが、もし「上振れ」すれば、間違いなく「21クラス」となる。わずか1教室だけの問題ではなくてこの1教室分は「浪速の姿勢」まで問われかねない数値に近づいているからである。その臨界数値は900人という「途方もない数」である。又これは今年だけの問題ではなくて、来年度以降にも直接関係してくる話であり、私は昨日の朝、遂に決断した。 


建設中のNS館には「常務理事室」を設置する方向で進めて来たが、これを「一般教室仕様」に変更すべく、ゼネコンの南海辰村建設さんに急遽来て貰い、その旨を伝えた。竣功までわずか2か月弱のタイミングでの変更だから「本当に申し訳ない」のだが、この「1教室」が来年度に大きな助けになると判断したのである。令和6年度の卒業クラス数は18クラスであり、これが昨年、今年並みに20クラス規模となるとこの1教室分は大きな物心両面の余裕に繋がる。常務理事はこれまで「あちこち」と部屋を移動して貰っており、心苦しいが法人の専従役員でもあり、理解をして貰った。最も彼は何処でも仕事が出来るタイプで自分の部屋を自ら要求などして来なかった人物だから問題はない。 


その後、「拡大管理職会議」を招集し、人事他の重要な案件の発表と上記の方針を伝え、意見を求めた。当然だが高校関係者と入試広報部は「1教室でも余裕が出来た」ことで安心安堵した様子であった。しかし各学年が20クラスとなると中高合わせた在籍数は令和5年度の期首で何と、何と2916人となり昨年度の2654人を262人も上回る巨大な数値となる。「創立開校100周年の節目の生徒数が2916人」と言うことは令和6年度で間違いなく「3000人を突破」する可能性の高い学校になると言う事だ。私は身震いこそしないが、充実感と緊張感が入り混じった感情の中に「じわじわ」と湧き上がってくる幸福感を抑えきれない。この1教室が間違いなく役に立ってくる筈だ。