充実した浪速生活
理科常勤講師 M,T
私がこの1年間で心に残った3つテーマは「改革・革新と『不走時流』」と「ICT教育を高める!」と「100周年バッジと赤井英和氏の言葉」である。
その中でも最も私が感銘を受けたのは「改革・革新と『不走時流』」である。この「不走時流」は時代に流されず常に己の考えを重んじて進むことという意味なのだが、理事長先生の文章を読んだ時、私の心に刺さるものがあった。また、この瞬間に私の3年弱の教員生活が自分の頭の中をまるで映画を見ているようにフラッシュバックした。浪速高校で働かせていただくことになり、1年目は新卒であった私は、主に1学年の副担任、硬式テニス部の顧問、教科指導について奔走した。社会人になりたての私はわからないことばかりであったが、先輩教員の助け、学校の充実した施設のおかげで何とか1年間走り抜くことができた。
2年目は1年生のⅡ類の担任を任せていただくことになり、期待を膨らませて新年度を迎えることになった。初めての担任として、どのような生徒を育てようか、どのような力を付けさせようか、様々な思考を巡らせ、生徒と共に教員である私も教員人生の中で最も成長したのではと感じる1年間だった。教員人生において初めてのクラスは生涯、記憶に残るものだと感じた。
また硬式テニス部においては、夏ごろから監督を任せていただくことになり、良い意味での重圧を感じることとなった。私の一挙手一投足で生徒のパフォーマンスが変わる、生徒の人生が変わると強く感じて、生徒と関わることに関して今まで以上に責任感を感じることができるようになった。何をすれば生徒のためになるのかと常に考え、がむしゃらに行動することによって団体戦で全国大会を決めた時の感動は今でも忘れられない。しかし、担任として、または顧問としての自分の行動は正しいのかと葛藤する日々でもあった。
そこで「不走時流」という言葉の意味を知った時、私の中で腑に落ちるものがあった。私なりに「やるべきことをやっていれば、結果がついてくる」、「自分の信じたことを突き進めていくと道は切り開ける」という解釈をした。教師が迷っていれば、生徒はもっと迷ってしまうと感じたので自分が正しいと思うことに自信をもって生徒に接することを心がけた。するとクラスでは男女が仲良く、活発なクラスにすることができ、今年度のクラスでは浪速祭、球技大会などの行事で表彰状をいただくことができた。今年度から監督に加え、主顧問になった硬式テニス部ではインターハイ大阪予選の団体戦で優勝することができ、全国インターハイに出場するという監督を始めた時から生徒と共有していた目標を達成することができた。また、化学の授業では実験を積極的に取り入れて、主体的な授業を展開することができた。これらからやるべきことをきちんとやっていれば、結果は自ずとついてくるものだと強く実感した。
これらのことを実感したと同時に、達成できたのは、まわりの先生方の助けはもちろんのこと、理事長先生に作っていただいた充実した学校の設備があったからこそだと強く感じる。硬式テニス部の躍進においては「浪速八咫烏庭球倶楽部」の存在が必要不可欠であった。全ての学校の硬式テニス部の課題といっても過言でもない「練習場所がない」という問題を解決していただけた。私自身、高校生の時の部活では校内のテニスコートでは練習場所としては足りておらず、外部のコートを借りていて移動、手続き、出費など苦労することが多かった。しかし、本校ではオムニコート3面、ハードコート2面を使わせていただいていて、充実したクラブ指導、全国大会出場を実現することができて、本当に感謝している。
また、私は化学の授業で最も大切なことは、化学をより身近に感じることだと考えている。それを実現することができているのは理事長先生がICTの設備が高水準で整えてくれているからだと強く感じる。まず、私が高校生の時は化学の実験となると実験室でしか見ることができなかったのだが、各クラスにプロジェクターが備わっているおかげで事前に撮っておいた実験動画を見せることができる。化学に興味を持つ生徒、化学が好きになる機会が増えたのである。また、生徒1人1人がクロムブックを所有していることにより、授業の幅が大きく広がった。ペアワーク、グループワークのしやすさ、生徒の意見の抽出・共有など様々な面で活用させていただいている。私が知らない使い方や発想がたくさんあると思うので新しいことに常にチャレンジしていきたい。
最後になったが、今年100周年を迎える浪速高校に関われることは本当に幸せに感じている。時代が変わるごとに教育の現場も変化していくが、変化に応じて自分自身も変化し成長できる教員を目指し、浪速高校を支える一員になれるように努力していきたい。