2023年2月5日日曜日

「苦難は神が与え賜うた”浄め”であることを知れ」

 昨日の橿原神宮での新作能「神武」の余韻にまだ浸っている。それにしても室町時代に始まったとされるお能であるが、現代に生きる作者の辰巳満次郎氏の才能には驚くばかりである。世の中には「凄い人」は居る。神武役のシテは終盤、クライマックスの所で次のように謳う。笛、小鼓、大鼓が大きく奏で、地謡が大きく身を乗り出して謳う中で、透き通った声でシテは語る。現代文で言えば「お前の悩みを含む世の中の全ての苦難は神が与え賜うたもの。即ち「浄め」であることを知れ。己の生きる意味を知れ。乗り越えることが生きる途なのだ。我もそれを知りて世を治めた。祈り、努力し、信念を離すな。」素晴らしい言葉だ。「苦難は浄め」だと言うのだ。初めて聞いた。神社神道の学校として生徒にも語れる言葉であり、私はこの言葉に深く感動した。この新作能、早く知っておれば100周年記念行事で生徒にも鑑賞させたいとも感じた。 


粗筋は「神武東征」の物語であり、本校は学院曲「海道東征浪速」を保有しており、橿原神宮に奉納演奏をしたことがある。平成から令和へと御代替わりした令和元年5月19日、昨夜お能が演じられた、まさしくその舞台で吹奏楽部が見事な学院曲を奉納し、一躍神社界に有名になったことがある。昨日、これに関して産経新聞の記者から本年11月頃に「カンタータとして「海道東征」の演奏会が橿原神宮で挙行されることが決定したと聞いた。日程的に許せば吹奏楽部員を連れて鑑賞させたいと思った。学校作りに邁進し、今までやって来たことがどこかで全てが繋がっていることに驚くと同時に心豊かになった自分を見る程嬉しいことは無い。



昨日はお能、今日は「第43回大阪府高等学校芸術文化祭」がドーンセンターホールであり、日本音楽部門で私立、公立22校が出場した。私立で言えば樟蔭、成蹊、四天王寺、関西福祉、大阪桐蔭、関西創価各校さんに本校浪速だ。本校からは津軽三味線部と雅楽部が出場するから、特別に支援してきた理事長としては鑑賞と応援に出掛けない訳には行かない。又今日は校長先生が激励に馳せ参じてくれた。出し物は津軽三味線部が「津軽じょんがら6弾」で雅楽部は「陪臚」だ。両部とも素晴らしい出来だった。日本人として日本の古典芸能芸術分野を学校教育の場で支援し展開することは重要な事だと思っている。従ってこの公私22校は素晴らしいと思うし、「学校の幅の広さ」を誇って良いと思う。日本舞踊、琴、舞曲他素晴らしい演奏であった。「文武両道の学校」に本校は今後とも進展し続けたいと思う。私は例年のように講評し激励をした。そして外部指導者や顧問の先生に今後とも宜しくとご指導をお願いしたのである。