2023年2月4日土曜日

橿原神宮「新作能 神武」鑑賞

 今日は午後から奈良県橿原市にある橿原神宮に車を走らせた。(橿原と樫原の違いに注意してください。)数年前から学校近くに阪神高速大和川線「常盤インター」が出来たので随分と便利になり橿原神宮まで南阪奈道路を利用すればほぼ40分程度で行ける。目的は本日夕刻、新作能「神武」がこの地で初めてお披露目されるからである。ご招待を受けたので鑑賞に赴いたのであるが、元々能や歌舞伎などは大好きだからお付き合いで行くのではなくて喜んで参るのであります。橿原神宮はご祭神として初代神武天皇をお祀りしており、これは当時の公文書たる日本書紀に正式に記されたもので、毎年2月11日の建国記念の日に「奉祝祭」を執り行っておられる。今回は記念行事として1週間前の特別企画であった。 



色々と考えられた演出となっており、導入部に現代語による能物語の朗読を俳優の榎木孝明氏が務められた。所謂「語り人」である。きりりとしたお声で、良く通り、流石に素晴らしい表現者であった。その後能に移り、シテの辰巳満次郎氏が登場した。氏は人間国宝であり宝生流宗家のトップに位置し、伝統を守りながらも新しい感覚で世界を舞台に活躍されている。現代では「新作能」の第一人者であり、今回の「神武」も氏が制作され自ら神武天皇を演じられた。本当に素晴らしい能役者で私をうならせて下さった。ワキを務めるのは茂山千三郎氏で「八咫烏」を演じられた。茂山氏はご存知様に祖父に3世千作、父親の4世千作に師事した狂言方大蔵流の能楽師であり若手のホープである。「本校のエンブレムにある八咫烏」を演じられたのが嬉しい。

 

 

今日は立春、少し暖かなれど、まだ寒さを感じながら夕刻、明かりに灯された神宮の内拝殿で静かに朗読が始まった。とにかく20分の榎木さんの朗読が素晴らしかった。次第にあたりが暗くなると共に場面が進み、「大和三山」の一つである「畝傍山」がうす暗くも視界にある。まさに「幽玄の世界」であり私は2681年前の「天照大御神」の直系に繋がる「カムヤマトイワレビコ」が熊野の本宮大社から八咫烏の案内でこの地に辿り着き、「橿原宮」を築かれ第一代天皇として即位された太古の歴史に深い感慨を覚えた。


 
存じ上げている久保田宮司や同じく招待を受けていた宮崎神宮や鵜戸神宮の宮司様にご挨拶し総勢500人と言う招待客の中で良い席を与えられ、久々の別世界を堪能した。学校は粛々と良い状態で進んでおり浪速中学校の新一年生は148人と定まった。そして10日からの浪速高校入試を前にして学校は今静寂の中にある。ひと時の休息の時を貰ってリフレッシュしたのである。