2023年2月21日火曜日

浪速中学校校長先生の交代

 「浪速中学校の校長先生が交代」する。「行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず、よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」だ。どうも私は方丈記が好きだなと思う。つい先日も「人の亡きあとばかり悲しきはなし」を引用した。鎌倉時代の鴨長明によるこの方丈記は非常に有名な随筆集とも言えるもので「声に出したい日本語」として選ばれるほどリズムや文体が綺麗である。方丈記には生きていく人間にとって味わい深い内容が書かれており、多くの示唆が含まれている。この文も私には「さらさらと流れゆく川の水は、絶えることがないが、良く見ると新しい水に、常に入れ替わっている。流れが止まっている水面には、ぶくぶくと泡が浮かんでいるが、しかも大きな泡も、小さな泡も、生まれたかと思うと、すぐに消えていく」と取っている。人生は「非常」であり「無常」なのである。続いて「世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。」と来る。



この4月には新しい浪速中学校校舎の建設を宣言し、2年後には竣工する。N校長先生には真新しい新校舎の校長室の最初の住人になって欲しかったが、事情がそれを許さず、定年を1年残しての「勇退」となった。私が中学校校長職を6年務めてバトンタッチした後のT校長先生は4年間、その次のM校長先生は3年間、そして現在のN校長先生が3年間となる。義務教育の中学校校長職は激務であり、よくぞここまで頑張って頂いたと思う。ご労苦を慰労し深甚なる感謝の意を伝えた。続投をお願いし続けて1年、やむなくご健康を考え、退職を受け入れたのであるが、これほどの実績を残された教育者をミスミス手放すのは惜しく、退職を認める代わりに「理事長付特別顧問」として再雇用することを受けて頂いたのである。 


先生の残された実績は枚挙に暇がないがまず「吹奏楽部」を今日まで育て上げてくれたことを上げよう。浪速改革の始まる前はわずか4人しかいなかった部員が今や100人を超え、9年連続の金賞受賞など成し遂げてくれた。今や浪速吹奏楽部を目指す入学者は80人を超えるまでになった。謙虚で優しいお人柄は多くの教員から慕われ、徐々に生徒数が増えていき、今年の入学者数は148人と新記録である。N先生の3年間は数値で言えば136人、133人、148人となる。最も校長の前は中学校教頭として5年間も頑張って頂いたから現状は教頭、校長としての先生の実績である。


 

今後は大きな重責から解き放たれて人生を楽しみながら、お体の養生に励み、時たま入試広報部にお顔を出して頂き、後輩たちを支援して頂ければと思う。後任の校長は教頭としてN校長に仕えたN教頭が校長に昇格する。現N、Y校長は後任に是非N、Y先生と強く私に進言していたが、私もそれを睨んで3年前に高校から中学に移動させた人物である。偶然だが両氏ともアルファベットではN、Yとなるのも何かの因縁かも知れない。4月以降のN,Y新校長もお酒が大好きだがどうか少し節酒して体をいとい、多大の成果を期待している。「行く川の流れは絶えずして元の水にあらず、世の中にある人と栖(すみか)と、又かくのごとし。」である。